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脳内桃色領域。常夏前線停滞中。
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少し前に書きなぐった物をサルベージ(と言う名の再利用)。

よく分からない赤黒風味。便乗させて頂きました。










  時は幾分か進んだにも係わらず、蒼々しい空とふかふか浮かぶ白雲は時間の経過を感じさせない――そんな真夏の昼下がり。
  容赦無く降り注ぐ熱が馬鹿らしさに拍車を掛け、最早殺人的とも言える直射日光は庭先に異空間への入口の如き陽炎を作り出している。
  温いそよ風すら吹かず、軒に下がった風鈴が涼やかな音を立てる事も無い中、しゃあしゃあと鳴く蝉時雨の情緒なんて物はとうの昔に消え失せており、唯喧しいだけの雑音と化していた。

  「ッあ――!! 暑ッ!!!」

  焦がす様な陽光に背を押され、青年――利家が軒下へ飛び込んで来た。
  縁側に腰掛け、都合良く置いてあった団扇を手に取って扇ぎ始める。
  「お―……涼しい涼しい……って、コレ…――」
  誰の物だ、と言うまでも無かった。

  「……何でコイツの物なんだよ畜生………!」
  顔を上げた時にふと横を見れば、少しばかり離れた位置に団扇の持ち主が佇んでいた。
  「勝手に使ったのバレたらまた煩いんだよなコレが……」
  理由は見当付かないのだが、何故か成政は利家の一挙一動に度々突っかかって来る事が多い。しかもその全てが結構痛い。
  だが、罵声も攻撃も何も飛んで来る気配が無かった。
  「…――普段なら文句の1つや2つ投げて来るよな……」
  もしかして、と顔の辺りに目を遣る。
  「マジで寝てやがる……」
  戸口に背中を預け、眠りに就いている様子だった。――愛刀を抱いたままの姿であるが。
  「珍しい事もあるもんだ、真逆コイツがこんな所で居眠りなんて」
  思いもよらない事態。言わば何かを仕掛けるなら今が好機――。

  と、言う事で。

  「……ここで仕返しと洒落込むか」
  何やかんやと口出し手出しされている分を本人が気付く前に返す心算だった。
  「冷血男、殿バカ」
  普段ならば言った瞬間に棘のある言葉を浴びせられる蔑称を口に出しても、目覚める気配が無い。
  「……………なりまったん」
  主君が付け、主君以外の人間が呼べば刀身を首筋に突き付けられる事必須の恥ずかしい愛称を呼べども、未だ目覚める気配は無い。
  「――…コレで起きないとなれば本気寝にも程があるだろ……」
  そう言って、取り出したのは筆と硯。
  「……さ―て、起きた後が楽しみな顔にしてやらぁ」
  非常に古典的な悪戯を仕掛けようと、顔を覗き込む。

  ――…一瞬、息を飲んだ。

  頑なに締めた襟口から覗くしなやかな首筋は白さを帯びており、閉じた眼元には濡れた長い睫が縁取られている。

  (…こんな顔だっけ……?)

  嫌になる程見飽きた顔。
  見せる事なんて無い無防備な表情。

  ――鼓動が煩い。高鳴りが続く。

  美しいと、愛おしいと
  そう――強く思った。

  「綺麗」

  触れてみたい
  ――思うより早く手が先に伸びる。

  あと少しで――

  ――刹那、閃光が走った。

  「ッあああああわッ!!?」
  しゃん、と刀が鞘に収まる。それと同時に前髪がほんの少しはらりと落ちた。
  「…――何だ、お前か」
  「何だ、じゃ無ぇ!!! 俺を殺す気かテメェはッ!!」
  「殺す気も何も、敵ならば仕留める気で向かう事が道理では無いのか?」
  と、悪びれた様子も無く成政はしれっと答えた。
  「ぐッ……」
  正論の為か反論出来ず。
  「――それより、何故お前は私に抜刀させる様な真似をした?」
  「うぐぐッ…」
  言えない。
  くだらない悪戯しようとしてました、なんて絶対言えない。
  「――…また馬鹿な事だろうが……あまり私を巻き込むな、そして人の眠りを邪魔するな」
  ふぁあ、と小さな欠伸を噛み殺しつつ成政がぞんざいに言い捨てた。
  「って、また寝るのか!?」
  「……ん…」
  「寝るなって!」
  「何故だ」
  「何故って――」

  「…――お前と…一度ちゃんと話してみたかった、なんて――」

  「失せろ」
  「斬り捨てるなコラ!!!!」
  流石の利家でも成政の発言には耐える事が出来なかった様で。
  「お前と言葉を交わしたところで何の価値も意味も無い。時間の無駄だ」
  「そんな言い草は無ぇだろ!?」
  「事実を述べたまでだが」
  「~~ッ!!」
  沸点を通り越した怒りが遂に爆発した。
  「――解ったよ! テメェの言いたい事は良ッく解った!」
  すっと立ち上がり、利家は低く抑えた声で言い放つ。

  「…――殿から下賜された栗もなか、食うぞ」

  「――前田、待て」
  「…何だよ」
  「その……何だ、先程は…私も悪かったと――」
  一転して突然大人しくなった成政の態度に、利家は驚きを隠せずに居た。
  (ど―なってんだコイツ!? 前から栗もなかが好物だって聞いてたが……)
  非常に理解し難い。
  真逆、"殿"と"栗もなか"の二言だけでここまで態度を改めるなんて――思っていなかった事態である。
  (何か…申し訳無い気持ちになって来たな………)
  そんな思いに駆られた利家はなるたけ明るい声音で話し掛けた。
  「わ、悪い悪い…全然気にして無ぇから…な?」
  「……本当なのか」
  正座を崩さぬまま、上目遣いの成政が詰め寄る。
  「ああ…――それより、折角だから一緒に食わねぇか?」
  満面の笑みを浮かべて訊ねた――

  が。

  「そうか、私の分は安堵された訳だな……全く、殿以外の人間に頭を下げるなぞ二度と味わいたく無い屈辱だ………何だ、突っ立ってないで早く寄越せ」
  「俺の話聞いて無ぇ―――――!!!!!」



  嗚呼、何故でしょうか

  この憎たらしくて腹立だしい人が

  気になって気になって気になって

  仕方無いのは――何故でしょうか?




【Ignition Key】

*fin*






……え―…たぎる萌心が抑えられず書いてしまった初・赤黒(未遂)!同時にやってしまった感も漂ってます!(笑)

(未遂)なのは作者の実力が追い付かなかった事も当然の如くありますが、今回の題名でもある"点火"と言う事を踏まえて2人の恋路はまだまだ始まったばかりと言う事で(未遂)な訳だったりします!
……うん、上手い事言えたのでこれにて!!



挟霧屋御鷺  拝







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