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脳内桃色領域。常夏前線停滞中。
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遅ればせながら肥後宿敵の関ヶ原です。シリアスだけど泣ける保証は皆無ッス☆(ぇ)
普通に死ネタ。

※麗夢は半年前まで関ヶ原は徳川と今川が戦ってたと思ってました。
※現在も壇ノ浦で勝ったのは平家なのか源氏なのか解りません。(前に師匠に教わったんですが覚えてません)
※それ程まで酷い歴史嫌いの理系野郎ですから、間違えた表現や設定が有るかも知れません。
※それでも良いっていう壮絶なる慈悲心のお持ちの方のみお進み下さい。

──今この気持を貴方に伝えたら

──もし伝えられたなら、貴方はどんな顔をするだろう?

──優しく笑ってくれますか

──でも、言えなくて

──いつも貴方が笑いかけてくれるから

──いつも貴方が抱き締めてくれるから

──いつも胸が詰まって、何も言えなくなる


──嗚呼

──もし、この気持を伝える事が叶うなら



「明日──行くのか」
「うん」
清正は行長の目を見ずに言った。
夜の風に踊る、清正の髪。紐で高く後ろに纏めたそれらが元に戻る前に、行長が捕まえた。清正はキュッと苦しくなる。
明日。後に関ヶ原の戦いと呼ばれる戦がある。行長は参戦する。清正も出るが、行長程ではなかった。
清正はふるりと体が震わせた。行長はそれを見て、サラサラと清正の髪をときながら困った様に笑う。
「そないに怖がらんでよ。ボクが死ぬと思ってるん? 心外やわぁ」
馬鹿。貴様が暫く居ないだけでも嫌なんだ。その上死ぬかもしれぬ所に……。
「別に怖がってなど──」
「そっか」
行長は再び笑う。清正はその軽薄な笑顔をギッと睨んだ。
「心配してないぞ。貴様なんか居なくなっても良い位だ」
行長は黙っていた。
「静かになって清々する。そうだ、帰ってこなくとも良い──」
「………」
「………行長?」
行長の沈黙に清正は焦った様に行長を見た。
「な、何だ急に黙って。ぅ嘘ではないからなッ」
「そっか...」
「何だ貴様そんな切なそうな顔を……おい行長?」
「………」
「行長ッ」
「…………」
「──ッゎ、悪かったよ言い過ぎたッ。か、帰ってこなくて良いなんか……その……ぉ、思ってな──」
「もー大好きやわ清正ちゃんッ!」
「ぅわぁッ!?」
ぎゅっと行長は清正を抱き締めた。目を白黒させて清正は行長の胸板で喚いた。
「可愛い~♪」
「か、可愛い!? だ…黙れ──って、髪を触るなッ」
「だって気持ち良いねんもん。滑らかで大好きやわぁ♪」
「は!? 兎に角離せ、この常春男ッ」
バッと清正は行長から離れ、ボサボサの髪と真っ赤な顔で指を差し、言った。
「やはり貴様なんぞ帰ってこなくて良い! 帰れッ!!」
「酷いなぁ……。まぁ仕方ない、帰るわ」
「……ぇ……」
「じゃあね」
「──待っ──」
「何?」
ぁ、と清正は声をあげ、狼狽えた。思わず行長の袖を掴んでしまったからだ。視線を彷徨わせたまま清正は継ぐ。
「そ、その……何時何処から出発なんだ?」
「見送ってくれるん?」
「べ、別にそんな事……た…ただ、知って損は無いし──」
フッと行長は笑って清正を優しく抱き締めた。
「もう止めて、そないに可愛い事言うんは」
「ま、また可愛いと──!」
「だから」
黙れと言わんばかりに行長は清正の唇を唇で封じた。触れるだけのそれは、何処かいつもと違っていた気がした。
唇を離してすぐに清正は行長に抱き寄せられたので、彼の顔は見えなかった。彼は優しい声音で続ける。
「だから──もう喋らんで。お願いやから、そんな不安そうな眼ェせんとって」
「行長」
「清正ちゃ──否、」
ちゅ、とまたキスをする。
「清正」
ちゅ。また。
「行長」
お互いがお互いを求める様に。
「……清正……」
だんだん激しく。
「ゅ...」
もう喋る間も置かずに。
不安を文字通り掻き消す様に、行長は清正の髪の紐をやや乱暴に解いて乱した。
舌を熱く甘く激しく絡める。虫の声に溶ける水音。ドサリと畳の上に2人は倒れた。
飲まれる様な、キスの雨。息切れと粘着質な水の音しか聞こえない。五感が麻痺しそうだ。
嗚呼、アツい。
清正は酸欠で朦朧とする意識の中で、己と相手の身体の熱を感じていた。
行長を感じる。それだけで幸せだった。
しかし。
行長はピタリと止めた。そしてゆっくりと身体を離してゆく。清正はやり切れぬ表情で(無意識に)ねだる様な眼で行長を見た。
「……行長……?」
「御免、今日は止めよ」
「……ぇ」
この熱をどうしろと言うのだ。
清正は不満そうな顔をした。行長は困った、そして何処か悲しそうな笑顔を見せた。
「だって、僕が死にかけても、この続きがしたくて生きて帰ってくるやろ?」
「──ッ! 馬鹿め……」
「……だから、御免な。そんな顔せんでよ」
行長は清正の滑らかな頬を鎖骨まで撫で下ろした。
「じゃあ、これだけ」
「ッ」
行長は清正の首を強く強く吸った。そして出来た、とびきり目立つ赤い痕を見る。
「この痕が消える前に帰ってくるから。帰ってきたら──」
妖しく彼は笑った。
「──沢山、愛してあげるから──な?」

でも。
此奴──無理をしている。
清正は直感した。でも口には出さなかった。
しかもこんな痕2日も保たないではないか。帰ってこれる筈がない。
でも清正は黙って不満気な眼で行長を一瞥して、フンとそっぽを向いた。




朝独特の湿気がゆるりと漂う。清正は門をくぐり出た。しかも行長に言われた時間よりもかなり早い時間である。
これは今朝偶々朝早く起きていたからで、別に見送る為では──
そのブツブツと呟き歩く清正の背に。
「清ーよ正ーさちゃんッ♪」
声と共に髪の紐を引き抜かれた。弾かれた様に勢い良く振り向けば、戦装束の行長が悪戯っぽく笑っていた。エクステは取っている。
彼は赤い紐をひゅんひゅんと回した。
「隙有り♪」
「か、返せ戯け者ッ」
「見送ってくれるんやね」
「話を反らすなッ……と言うか──こ、これは今朝早く別に起きていた為ではない訳では──」
「清正ちゃん、考えとったんか知らんけど、言い訳グチャグチャやで」
クスリと笑う行長に、清正は真っ赤な顔をした。
「う、五月蝿い五月蝿い! 大体貴様、俺に教えた出発場所と違うだろうが! 時間も半刻(=1時間)以上早いッ!」
「だってみんな居(お)ったら下手な事言われへんやろ?」
スッと行長は清正に近寄った。頭に手を乗せた。
「ホラ、そないに不安そうな顔するんは止めてよ」
「………お前だって──無理してるだろう」
行長は淡い黄緑色の瞳を揺らした。しかし一瞬も経たずにヘラリと笑う。だが清正には誤魔化している様に見えた。
「こんな行きたくない戦初めてやで~? 離れたくないわぁ」
おどけた仕草で行長は清正を抱き締めた。清正は思わず頭を真っ白にして顔を炎上させる。
「馬ッ──! み、道端で何をするッ! さっさと行ってしまえッ!!」
嫌だ。離れたくない。
「酷いなぁ清正ちゃん」
暫く、否、もしかしたら永久に、触れる事が出来ないかもしれぬと言うのに。何故抗う。甘んじろ。
自分に言い聞かせるココロと裏腹に、カラダは素直じゃなくて。勝手に行長の胸板を押し返していた。
しかし行長は清正の望み通りに、ぎゅっと清正をより強く抱いた。
「清正ちゃん」
声がいつもより若干低い気がした。
「な、何だよ」
「死なんとってな」
「は?」
「僕が帰ってきた時に、また居てな」
「き、貴様の方が死ぬ確率が高いだろうが」
「………そーやったね」
また軽薄な笑顔。でもやはり辛そうな笑みに見えた。
「御免な急に」
「良い」
「じゃ……」
行長はするりと清正から離れた。虚しい位に、簡単に。この温もりの消える瞬間が大嫌いだ。寂しくて、悲しくて。凄く不安になる。
俯く清正。
「ハイ、清正ちゃん」
行長は清正に、彼の髪から引き抜いた紐を返した。彼は受け取った。
行長がクルリと背を向け、歩き出す。

数秒立ち尽くして、清正は行長の後ろ姿を唐突に追い掛けた。
「待て行長」
「ん?」
彼の左手を取って、手首にぐるぐると紐を巻き、固く固く結んだ。
清正は不機嫌そうな声で俯いたまま言う。しかし行長の手首をぎゅっと握ったまま。
「……これは加藤家の家宝だ」
「ぇ? これ、前に僕と買っ──」
「えぇい逐一五月蝿い奴だな! 家宝だ! 大切なんだ! だから──」
一気に声を小さくして、ぼそぼそと続けた。
「──だから──必ず返せ。必ずだ」
馬鹿みたいに耳まで真っ赤にして言う清正に、行長は微笑んだ。
「有難う」
そして、彼の首にある自分の痕に唇を重ねた。昨日より濃くなったそれが、清正の白い肌にやけに栄えた。
「ねぇ」
「うん?」

「好きって言って?」
「なッ!?」
「好きって言ってくれたら何か死なない気がする」
「巫山戯るなッ! 誰が貴様なんか───」
「好きやで♪」
「──ッ!!」
何故そうやってサラリと言えるのか。
「ぉ、俺は──」
言えよ、俺。
「………」
好きだと。
「ゅ、行長!」
「何?」
「ぁ、その……」

好きだ

「……ッ…」
「なぁに?」
……糞ッ、何故言えぬ!
「何でもないッ、さっさと行け!」
行長は笑った。少し切なそうに。
それでもやっぱりねと言いたげな顔が、何だか癪だった。
じゃあ、と踵を返す行長の左手に見える赤い紐が、ゆらゆらと揺れていた。

きっと行長は帰ってくる。俺が紐を結んでやったんだから。必ず返しにきて──俺を……。
そっと首筋に触れて自分に言い聞かせた。
「……死ぬな……行長」





こんなに、違うものなのだな、戦になるだけで……。
清正は行長の城に居た。何度も来たと言うのに、何故ここまで違うのか。
此処に攻撃を仕掛けたのは清正だ。今行長は敵なのだから。それに他の誰かに此処に踏み入れて欲しくなかった。
清正は1人で行長の部屋に入った。何となく敵は全て廊下で倒した。やはり行長の部屋を、他人に汚されたくなかったのかも知れない。
自分の体から臭う血の匂いに混じって感じる、行長の香り。

「……行長……」

会いたくなった。呟いたら、一層。胸が苦しくて苦しくて、耐えられない。
   清正ちゃんッ♪
そう、呼ばれた気がした。重傷すぎて笑える。
清正は首の痕のあった場所に触れた。
嘘吐きめ。もう痕は無いじゃないか。まだ帰ってこないのだろうか。
目を瞑れば行長が笑いかけてくる。大好きな、行長が。自分でもこんなに好きだと知らなかった。
奴が帰ってきたらまず、好きだと言おう。素直になれなかった分、奴が居なくなって気付いた分。
一緒に纏めて伝えよう。
だから早く帰ってこい、行長。
清正は血みどろな廊下に不釣り合いな表情で踏み出した。





「な……んと……言った」
清正は目を見開いて硬直した。
「行長が……打ち首に!?」
恭しく座る家臣の頭を、清正は首を左右に振りながら見た。
僅かな沈黙の後、それを清正は破った。
「……りに」
「はい?」
「独りに、させてくれ」

風がヒュルリと吹く。清正が愛した、否愛する男の様だ。手を伸ばすが掴めない。
風はするりと清正から離れた。そう、虚しい位に、簡単に。あの最後の温もりの消えた瞬間を思い出した。寂しくて、悲しくて。凄く──彼が恋しくなる。
もう二度と、行長とは会えないのか。
実感が湧かない。今にも彼はあの笑みを浮かべて抱き付いてきそうだ。
ほら、今にも。

「申し訳ごさいませんが……」
「何だ」
さっきの家臣だ。考え事を中断され、不機嫌に、殺意まで込めた顔で振り向く。
「小西行長が、忍に託した様です。貴方へと」
それは、赤い紅い紐だった。清正の髪に付いていた、清正が行長に巻いてやった、紐だった。
一体どんな顔をしたのだろうか。家臣はすぐに居なくなった。
「───」
声が出なかった。その紐は、本来の色よりも紅かった。と、言うより、茶色になっている。


   血。


これは行長の血か、敵の血か。
行長は──死んだ。

気持ちが弾けた。

「ぁ…あぁ……あぁぁあぁ……」
ボロボロと瞳から何かが溢れて、視界を歪ませた。それでも握った紐は消えてはくれなくて。
「……行長……」
声が涙が勝手に溢れた。涙を拭うのさえ忘れて泣く。嗚咽を堪えるなんて概念から無くて、今はただただ行長が恋しかった。
あの温もりが大好きで、あの声が大好きで、あの匂いが大好きで。壊れそうだった。
嘘吐きめ。
清正は首の痕のあった所に爪を立てた。強く。
続きをすると言った癖に。
血が滲む程、強く。
こうして色だけでも残しておけば、彼は帰ってくる気がした。
俺が帰ってこなくて良いと言ったからか? 俺が好きだと言わなかったからか?
「……何故……何故貴様は死んでいるんだ……」


──嗚呼


「……嘘吐きめ……ッ」


──今ならもう意地は張らないのに


「帰ってくると言ったじゃないか……」


──やっと素直になれたのに

──それは少し遅すぎて


「好きなんだ……」


──伝える相手はもう居ない


「大好きだ、行長……」


──言葉をどれだけ並べても

──気持をどれだけ語っても

──伝える事はもう出来ない


清正は髪を掻き乱した。髪の中で指先に感じた温もりにビクリとした。
でも、それは自分のもう片方の指で。余計に切なくなった。
   『滑らかで大好きやわぁ♪』
行長がよく褒めてくれた。撫でてくれた。
でも、もうあの優しい手は髪をといてはくれないのだ。頬にも、手にも触れてはくれない。一度も清正から抱き締めた事の無いあの胸は、もう無い。
抱き付いてみれば良かった。手を握ってと催促すれば良かった。
髪を一束頬に付け、きつく握って雨みたいに手元に降る後悔の涙で濡らした。


──嗚呼、何故、今迄言えなかったのか

──こんなに簡単で、こんなに単純なコトバが

──あんなに隣に居たのに

──あんなに伝える事が出来たのに

──何故今迄言えなかったのか


「……行長……」


──いつも、意地を張っていた

──貴方があまりに隣に居るから

──貴方がいつも隣で笑いかけてくれるから

──貴方が居て当然だったんだ


貴様は俺に独りで生きろと言うのか。貴様の居ない世界で。
それは、あまりに辛い。辛すぎるぞ……なぁ、行長……。


──今なら素直になれたのに

──何故、何故貴方は居ないのですか……


清正は畳に崩れ落ちた。軒の向こうに見える夕焼けが、やけに綺麗すぎて。
あまりに美しすぎて。
独りで見るには、あまりに輝きすぎていて。
清正は静かに涙を流した。その頬を、温かい風が撫でた。

いつか、此処で二人で空を見た。
奴は俺をもたれさせて、でも俺は抗った。

いつか、此処で二人で飯を喰った。
奴がせがむから作った俺の炭みたいな料理を、奴は笑って食べた。なのに俺は馬鹿だと言った。

いつか、此処で二人でキスをした。
奴は優しく俺を抱いた。なのに俺は多分、暴言を吐いた。

いつか、此処で二人で……。
胸が潰れそうだ。あまりに自分が素直じゃなくて、悔しくて。あまりに行長が愛しくて、恋しくて。清正は涙と共に瞼を落とした。


──今この気持を貴方に伝えたら

──もし伝えられたなら、貴方はどんな顔をするだろう?

──優しく笑ってくれますか


「好きだ……なぁ、行長……聞こえているか……?」


──嗚呼

──もし、この気持を伝える事が叶うなら

──どうか伝えさせて

──今ならきっと、全部言えるから


「………凄く、凄く大好きだったぞ…………行長…………」




       ──でも、
  
                   もう伝わらないのですね──






























やっちゃったぜ第2号。麗夢です。
な……な……泣けないィイ!!!
ごめんなさい!  何か支離滅裂感が否めない...orz  描写が酷すぎる。


ごめんなさい。
ホントごめんなさい。

もう終わりにしましょう。でゎ。(逃)

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