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脳内桃色領域。常夏前線停滞中。
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赤黒です。お互いを意識してるけど一歩が踏み出せない二人の話。
テーマは「じれったい」です♪




「腹減った……」
利家は餓死寸前の顔をしていた。昨日の昼から何も食べていない。財布を何処かに忘れたか盗まれたかして、金が無いのだ。
利家は廊下を用も無く歩いていた。すると。

「!!!」

視界の端に食べ物を感知した。少し開けられた襖から覗くのは、カステラの塊。
利家はほぼ無意識に入り、ほんの少しだけ(バレない程度に)拝借した。しかし、嚥下し終わってから自分の過ちに気付いた。此処は他でもない、成政の机だ。
しまった……謝って済む相手じゃ──
「ぎゃぁあぁあッッ!??」
いきなり刀身が現れた。自分でも驚く程素早く、間一髪で避けたが、真剣に死ぬかと思った。
バクバクと鳴る胸を押さえながら見ると、やはり成政が居た。
「お前……遂に盗みまでしたか」
「ゎ、悪ィ!! 悪気は無かったんだって! 昨日から何も食べてねーの!」
「だからどうした」
「ホラ、代金ならお金が入った時に返すから──ッうぉぉおお!?」
「金の問題ではないわこの盗人が!!」
また刀が振られる。利家は避けきれずに頬を切った。
「それは殿から頂いた物だ!! お前が口に出来る物ではない!」
「す、済まなかったって! 今度栗もなかやるから──」
「私を舐めているのか! 食べ物で釣られる程餓鬼ではないわ! 低レベルなお前とは違うのだ! ──もう目障りだ、消えろ」
「うぉわあッ!!?」
今度は避けた。しかしギリギリだ。
「ぉ俺が悪かったけど此処までするか!?」
「五月蝿いわ! 今此処でお前の脳天を斬ってやりたい位だ。その使えぬ脳を入れ替えてやる」
「そこまで──」
「まだ死にたいかッ」
「痛ッ!!」
今回は避けきれなかった。腕が切れた。結構深い。
「おま──」
「もう良い、お前と言葉を交わす時間が勿体ない。馬鹿がうつるッ」
成政が着物を翻し背を向けた。
「私の視界に二度と入るな!!」
力いっぱい襖が閉めた。

そうして成政は数歩肩を怒らせて歩いたが、すぐに歩調を緩め、立ち止まった。
言い過ぎた……。
殆ど勝手に言葉が出ていた。頬も腕も、斬る気なんて無かったのに。彼も謝っていたのだし、それ程取っていない。
成政は引き返して、襖に手を掛けた。
だが止まる。
入って何を言う? 奴を前にしたらきっと自分を制御出来ない。
──お前が可愛いだなんて──
そう、あの台詞を聞いた時から自分が解らなくなっている。胸が苦しくて、アイツを見ると素直になれない。
ぎゅっと胸元の着物を握った。
そもそももう嫌われてしまっただろう。今更何を言っても言い訳だ。
でもその場を離れる気になれなくて、成政は襖にもたれた。

利家は出て行った成政を追おうとして閉められた襖に手を掛けるが、そこで躊躇した。
行って何を言う?  そもそも自分が悪いのだ。追ったところで言う事など無い。
アイツは俺の事が嫌いなんだ……。きっと切り捨てられるだけだ。
利家は何だか落ち込んできた。
何沈んでんだよ俺。苦手なアイツに嫌われただけじゃねーか。
俺はどうかしちまったのか。あの日からどうしてもあの琥珀色の瞳が忘れられないし。
これじゃまるで俺がアイツを──……。
ナイナイ、と利家は力無く笑って、襖にもたれた。


二人は気付かなかった。襖は人が体重を預けて耐えれる程丈夫でないと。なのに物音一つ出ないと。
二人は気付かない。それは、背中合わせに恋いに恋う相手が居るからだと言う事を──……。

隙間風だけが、二人を見ていた。























ハイハイこんにちは、麗夢です。
またまたやっちゃいましたよ書いちゃいました;;
赤黒二人の恋模様、如何ですかね。
ってか、この二人(「delusion」)が俺のSS史上初のキスしないSSなんですよ。破廉恥担当として許せない...(ォィ)


まぁそんなこんなな二人ですが、気ままに気まぐれに気の向くままに書いてくんで宜しくッス(`・ω・´)

      2008.8.20(WED)

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