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脳内桃色領域。常夏前線停滞中。
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ハロウィン企画その2。織田軍編。
織田軍オールスター(浅井は不在ですが)と見せかけて、結局は赤黒に収まるSS。
俺の作品とは思えぬ純粋さです(笑)



「すっかり寒くなってきたぜ……。この布団も今日までにするか」
利家は布団の中で寝返りを打った。少し薄めな上布団を強く握り込む。
「来月から冬用にしようと思ってたが……まぁ、殆ど変わりねぇな」
もぞもぞと丸まる。まだ起きる時間には早いから、もう一眠りしようと微睡みかけた、その時だった。

「とりーっくおあとりぃーーーーーーっとっ!!!」
「ッ!??」

がばぁッ!と思いっ切り布団をひっぺがされた。
「ぽ、ぽっしー……」
驚いて見上げると、昔から見知った旧友、否、主の姿があった。
「何でお前はマトモな登場が出来ないんだ?」
「こらこら、殿の発言は無視なのかねっ?」
「は?」
「駄目だなぁ、そんなんじゃ次の軍議で発言権無しだよ?」
「トンデモイベント量産会議の間違いだろ」
「……良いんだね? 織田軍VSいぬっち・後退でドッジボールして、負けた方が勝った方に奢る大会とかにしても?」
「はいすみません殿。ワタクシが悪かったです」
因みに後退とは明智光秀の事である。生え際が後退している、の『後退』であろうが、本当に後退しているのかは彼の帽子によって明らかにはなっていない。
完全に巻き込まれているのだが、誰も触れないあたりが不憫すぎるのだった。

「で、何でしたっけ、トリック・オア・トリート? そうか今日はハロウィンか」
そう思ってみると、成る程、信長のマントは裾が破けた状態のそれだったし、彼の頭にはちゃちな角がついていた。
構わず信長が急かす。
「ほら早く、金平糖を一抱えとかで良いから」
「良いからって、普通に相当な量じゃねぇか」
見れば見る程憎たらしい笑顔で迫る信長。利家は半身を引いて言った。
「ちょ、待てよ。寝込みを襲っておいてお菓子出せっつーのはナイっすよ。悪戯したいだけっしょ、殿」
「何言ってんの! なりまったんはちゃんと持ってたよ!」
「アイツは別っす」
「他にも…──たっきー?」

「…お呼びでござるか」
「うおぁ!?」
無音で影が利家の右隣に天井から飛び降りてきた。たっきーこと滝川一益である。横顔の口元はマフラーで隠されたままだ。片膝を立て低頭したままピクリとも動かない姿は、まさに忍びであるが、彼の職業や立場はイマイチ解らない。

取り敢えず気になる事を突っ込んでみた。
「……滝川さん……ずっと俺の部屋の天井に居たんですか」
「否、そうではござらん」
「じゃあ何処に?」
一益は答えなかった。
(な……謎だ…)

信長は気にせず言う。
「たっきー顔上げてっ、とりっく おあ とりーと?」
「……あまり立派な物ではござらんが…」
そう言って、右手で右脇腹のあたり──彼の体で利家の死角になる部分──に手を回し、一瞬で箱を取り出した。
「……今何処から出した…?」
利家の問いは、信長が派手に包みを破る音で掻き消された。
「秋期限定饅頭……すいーとぽてとあんこ?」
「あんの代わりに薩摩芋の焼き菓子が入っているとの事で」
「美味しそーだね! ありがと、下がって良ーよー」
「はっ」
飛び上がるとも消えるともつかぬ動きで、一益は一瞬にして姿を消した。

「──で、いぬっちは?」
「んな事言っても、持ってないっすよ」
「んじゃあ、とりっくね」
「トリッ……ぽっしーの悪戯って凄ぇ怖いんすけど」
「それはいぬっちが悪ーいっ」
歌う様に叫んで信長は去った。
「……楽しそうだなぁ」
利家は呆れの混じった笑みを零した。





昼。
昼餉(ひるげ)を済ます暇も無く業務は続いていた。
そんな中、明るい声が飛んできた。
「トリック・オア・トリート!」
そう言って飛び込んできたのは、信長の妹・市である。何時ものショッキングピンクにも近いマゼンタの着物ではなく、魔女のコスプレをしていた。
似合っているし、顔も可愛いのだが、兄とそっくりな笑みを浮かべるので大きな減点ポイントとなっている。

それは兎も角、急遽用意したチョコレートを手渡した。溜め息混じりである。
「これで良いでしょーか」
「ふーん、小さなチョコレートね。まぁ許してあげる」
市はさっそく包みを開けて口に入れた。ひょこひょこと跳ねる様に動く様は、どこか子供っぽい。
「ねぇ、お兄様はどこかしら?」
「自室じゃないっすか?」
「それが、いらっしゃらなかったのよ。……まぁ良いわ、じゃあねっ」
市はミニスカートを揺らして走り去った。

お決まりの台詞を叫びながら隣の部屋に飛び込む声がした。






夕暮れ時。ウトウトとしていた利家は、ふわりと頬を撫でた黄昏色の風に、ハッと現実世界へ戻ってきた。
「うわ、もうこんな時間か!?」
手に持った筆もそのままに、軽く一刻半は眠っていた計算になる。
利家は流石に慌てた様子でがしがしと頭を掻いた。
「と、取り敢えず顔でも洗うかっ」


廊下を歩く利家は、妙に自分が見られている事に気が付いた。
「寝癖でも付いたのか…?」
髪を弄ってみる。
すると、背後から足音が近付いてきた。
「ままっ前田殿…!」
「お、明智さんじゃないですか。どしたんですか? 帽子微妙にズレてますよ」
「わわっ! ……ではなく、前田殿こそどうしたんですか」
「は?」
「顔、殿にやられました?」
「顔?」
強めに頬を拭ってみたら、手の甲に墨が付いた。
「ッあああ!! あんにゃろ、やりやがったな!」
「か、鏡ありますよ」
「うっわ…こいつは盛大にやってくれたな……」
頬に黒丸、瞼に目や睫、そして口には下手糞で真っ黒な唇まで描かれていた。テーマは化粧をした女性といったところか。

同情する様に、光秀は苦笑を投げかけてきた。
「貴方もお菓子を用意してなかったクチですか」
「明智さんも? あ、やっぱり?」
「やっぱり…とは、私ってそんなに用意周到じゃなさそうでしょうか」
光秀は困った様な笑顔を見せた。
「いや、」
利家は袖で顔を隠し気味にしたまま答えた。
「額に落書きされてたんで」
「何ですとッ!!?」
思わず帽子を取りかけて、光秀は瞬時に被り直した。
「ッ自室で拭いてまいります!!」
「ああ、有難う御座います明智さ……ん…」
利家が挨拶するが早いか、光秀は駆け出していってしまった。






「ど、どんだけ濃く書いてんだアイツ…」
四半刻を裕に超え、すっかり夜になる頃、やっと綺麗に拭ききれた。
どっと疲れた気がした。
「菓子用意しときゃあ良かったぜ…」
溜め息を一つ吐いて、障子に指をかけた。からりと開け、利家は凍った。

「───は──?」

部屋を間違ったかと疑った程だ。
それもその筈、あの佐々成政が、利家の部屋の中央で鎮座していたのだ。しかも、肌を露出した黒猫ファッションで。
ふわふわの布が胸部と手首をぐるりと巻いている。同じ生地のショートパンツから伸びる白い脚はニーハイソックスを履いていた。俯く頭には当然の様に猫耳が付いていて、尻尾には橙色のリボンがあった。一応ハロウィン色らしい。

りん、と鈴の音が響いた。成政が顔を上げたのだ。首には大きなリボンと、その中央に鈴が縫い付けられていた。
しかし利家はそんなものを見てはいなかった。頬を真っ赤にした成政の上目遣いに釘付けになっていたからだ。
「佐──「前田」
ふっと成政が視線を落とす。
「何故何時までも立っている? 私に近付くのは……厭…なのか?」
「そ、そんな事無ぇよ!?」
(これは、夢か?)
ぎこちなく成政の前に座ると、成政は悲しそうな目をした。
「……やっぱり近付くのが厭なのだな。私は、お前ともっと近くに居たいのに………だから…待っていたのに……」
「ッ!?」
佐々のこの顔は、利家にとって犯罪に等しい。殆ど思考回路が止まったまま寄った。

途端に、成政は手を付いてすっと前に出た。四つん這いの状態で利家を見詰める。
「前田、」
また一歩成政が前に出て、腰を下ろした。しなやかな動きで利家の頬に触れた。
「なぁ前田……否、と…利家…?」
「ッ!!? な……ぇ、おい、佐々!?」
「利家……せ…接吻して、良い……かッんんッ!?」
思わず成政の体を掻き抱いて口付けた。成政の背は思ったより柔らかで華奢だったが、今は固まりきっていた。
咥内を犯してやりたい衝動に駆られたが、流石に我慢した。

ゆっくりと離す。成政はすぐ顔を伏せてしまった。しかし、一瞬見えた表情は、何故か驚いていた様に見えた。
「渡したい物があるのだが、受け取ってくれるか?」
「何だ?」
成政は背後にあった箱──今まで成政に気を取られていたがかなり大きな箱だ──を差し出した。
「開いていいか?」
こくんと成政は俯いたまま首肯した。
言われたまま利家が蓋を開けると、

《悪戯、大ーい成ーい功ーーーーーう!!》

高らかに録音音声が響いた。
途端、背後の障子が勢い良く開け放たれた。
「吃驚した? ガッカリした?」
利家は放心していた。
信長は笑いながら続ける。
「なりまったんに頼んで、一芝居打ってもらったんだよ! いぬっち、顔の落書きで終わるって安心したね?」
「当たり前でしょ…」
「甘いなぁー! いや僕様が天才って事かな!?」
るんるんと楽しげに話す主に利家は力が抜けた。
「だよな、そうだよな…」
「? 何か言った?」
「いえ、何も?」
得意気に信長は台本を差し出して胸を張った。
「ちゃあーんといぬっちの反応まで書いてあるんだな、これが!」


[なりまったん:何故何時までも立っている? 私に近付くのは……厭…なのか?
いぬっち:そ、そんな事無ぇよ!
(いぬっちが座る)
なりまったん:……やっぱり近付くのが──…]

「うわ…一字一句狂いが無い…」

[なりまったん:前田、(近付く)
なぁ前田……否、と…利家…?(このへんで適当にタッチ)]

「あれ?」

[いぬっち:な……ぇ、おい、佐々!?
なりまったん:利家……(ここで抱き締m「もう良いだろう!!!」
成政が台本を取り上げた。
彼の顔を見ると、見事に真っ赤だった。

「へぇ、佐々ってもしかして」
「ッ何だ!」
「いや?」
何時の間にか信長は消えていた。
利家はニッと笑う。
「俺とキス、したかったんだ?」
成政の顔が炎上した。
「そ、そんな訳無いだろう! 雰囲気だ雰囲気!! 馬鹿をぬかすな!!!」
そう言って成政は走り去った。

「あの佐々が雰囲気でキス……ねぇ」
彼が何時の間にか落としていた鈴を拾い上げて、利家は開けっ放しになっていた障子に目をやった。
「ぽっしーに感謝だぜ……今度、一抱えの金平糖奢ってやろ」
銀の鈴は、利家の得意気な顔を映していた。





















って事で、ハロウィン物の赤黒でした。いやぁ駄作ですね(苦笑)


今回はケンカップル要素は無しで、どさくさに紛れてキスねだっちゃう成政が書きたかっただけです←

すみませんでした!
次回からはもう少しマトモに練ってから書きます……。



   2009.10.27(TUE)
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